サクラ木材を検討しているものの、「施主にどう説明すればいいかわからない」「ナラやウォールナットとの違いがあいまい」と感じていませんか?
本記事では、次のような悩みをもつ工務店様に向けて、サクラ材の性質から用途・価格感まで、現場で使える判断材料を解説します。
- サクラ材の特徴を施主に端的にわかりやすく説明したい
- ほかの広葉樹との使い分けを明確にしたい
- 現場での扱いやすさを事前に把握したい
サクラ材は「主張しない上質さ」で空間を支える木材です。この記事を読めば、自信をもって素材選定ができ、施主への説明もスムーズになります。
本記事のポイントは次のとおりです。
- サクラ材は派手さをおさえた中間色で、和洋どちらにもなじむ空間の名脇役。
- ヤマザクラは、使い込むほどに深みのある飴色へと変化していくのが特徴。
- ヤマザクラが住宅内装で選ばれる理由は、国産広葉樹らしい上品な色合いと高級感、加工性の良さ。
- 床材は全面より部分使い、造作材で空間をまとめる役割が効果的な用途。
- ナラより控えめでウォールナットより軽やか、差別化しやすい価格帯。
「サクラ材を検討しているのに、施主への説明に自信がもてない。」
それは当然です。木材選びは、理由を言語化する材料がないと判断が揺らぐものです。まずは現場の納まりや使いどころを、一緒に確認してみませんか。合わなければ無理な提案もしません。
サクラ木材の特徴は「主張しない上質さをつくる木」

サクラ木材の特徴は、派手な存在感ではなく「空間全体を支える名脇役」としての役割にあります。
赤すぎず白すぎない絶妙な色味が、和洋どちらの空間にも自然に溶け込み、10年後も飽きのこない上質さを生み出します。
ここでは、サクラ材が選ばれる理由を3つの視点から解説します。
派手ではないが、空間の温度を一段上げる色味
サクラ木材の主な特徴は次のとおりです。
- 基本色:淡いピンクベージュ〜薄い赤褐色
- 白太と赤身:境界が比較的明瞭だが主張しすぎない
- 経年変化:艶を増しながら濃くなり、ヴィンテージのような上質さが生まれる
サクラ材の色味は、赤みを帯びた淡いピンクベージュが特徴です。ウォールナットのような濃い茶色でもなく、メープルのような白さでもない、中間的な温かみがあります。この控えめな色味が、空間に「温度感」を与えます。

たとえば、白い壁にサクラのフローリングを合わせると、冷たさを感じさせずに明るさを保てます。
逆に、濃い色の家具と組み合わせても、全体が重くなりすぎません。 施主への説明では「派手ではないですが、日本の住まいによくなじむ色味です」という言葉で説明できます。
写真映えより、毎日の暮らしのなかで心地よく感じられる色合いです。
「和でも洋でも浮かない」日本住宅との相性
サクラ材が日本住宅で重宝される理由は、空間のテイストを選ばない柔軟性にあります。和室の造作材として使えば、畳や障子との相性が良く、落ち着いた雰囲気を作れます。
一方で、北欧スタイルのリビングに使っても違和感がありません。 「和でも洋でも浮かない」特性は、施主の好みが変わったときにも対応しやすいメリットがあります。
たとえば、最初は北欧テイストで作った空間を、将来的に和モダンに変更したくなっても、サクラ材はそのまま活かせます。
サクラ材の使用例を表にまとめました。
| 項目 | 和室 | 北欧スタイル |
|---|---|---|
| 使用箇所 | ・床框(とこがまち) ・床柱 ・長押 ・欄間の枠材 ・障子の框組 | ・フローリング ・壁面パネル ・造作家具(棚・デスク) ・建具(ドア・引き戸) |
| 色味の特徴 | 淡いピンクベージュが畳の黄緑と自然に調和します。経年変化で飴色に深まり、土壁や漆喰との一体感が増していきます。 | 明るいトーンが白壁と相性が良く、空間全体にやわらかな印象を与えます。淡い木目がミニマルな空間に温かみを添えます。 |
| 空間の印象 | 静謐で落ち着いた雰囲気を作り出し、伝統美と格式を感じさせます。季節の移ろいとともに変化する自然な経年変化が魅力です。 | 明るく開放的な印象で、シンプルながらも温かみのある機能美を実現します。清潔感とやわらかさを両立できる点が特徴です。 |
| 具体例 | ・茶室風の書斎で床框にサクラ材を使用 ・客間の長押材として黒檀との色対比を演出 | ・リビングの壁一面をサクラ材パネルで仕上げ ・ダイニングの造作棚をサクラ無垢材で製作 |
| コスト | 造作材として高品質な材を少量使用するため、材料費は比較的おさえられます。ただし職人の手間賃が主なコストとなります。 | 面材として広範囲に使用するため、材料費が増加する傾向にあります。一方で施工の手間は比較的少なく済みます。 |
大手ハウスメーカーとの差別化を考えたとき、「10年後のライフスタイル変化にも対応できる素材です」という説明は、施主に安心感を与えられます。
流行に左右されない選択として提案できる点が、サクラ材の強みです。
サクラ材が“名脇役”となる理由
サクラ材は、空間の主役ではなく「名脇役」として機能する木材です。
ウォールナットやナラのように強い個性で空間を引っ張るのではなく、ほかの素材を引き立てながら全体のバランスを整えます。
具体的には、以下の使い方で効果を発揮します。
- 床全面に使うより、一部屋や造作カウンターに使う
- 個性的な家具や建具を引き立てる背景として機能させる
- 白い壁と濃い色の家具の「つなぎ役」として配置する
控えめな性質が、工務店にとって扱いやすいポイントです。
施主の要望が「はっきりしていない」「いろいろ迷っている」段階でも、サクラ材を提案すれば、あとからほかの要素を足しやすくなります。
「この木を使っておけば、後悔が少ない」という安心感が、サクラ材を名脇役たらしめている理由です。
サクラ木材の基本的な性質|色味・木目・硬さ・経年変化

サクラ材を自信をもって提案するには、色味や硬さといった基本的な性質を理解しておく必要があります。
ここでは、現場で判断に必要な4つの要素を整理します。施主から「この木、どんな性質なんですか?」と聞かれたときに、具体的に答えられる内容です。
木目と色味|赤すぎず、白すぎない絶妙な中間色
サクラ材の木目は、はっきりとした導管が少なく、おだやかで均一な印象を与えます。
ナラのように力強い木目ではなく、メープルのように繊細すぎることもない、ちょうど中間的な表情です。
色味については、辺材(白太)が淡い黄白色、赤みが強すぎないため、空間が甘くなりすぎず、落ち着いた温かみを演出できます。心材(赤身)が淡紅褐色から淡い赤褐色です。
サクラ材と他樹種の色味や木目の比較を以下にまとめました。
| 樹種 | 色味 | 木目の特徴 | 空間の印象 |
|---|---|---|---|
| サクラ | 淡紅褐色〜淡黄白色 | おだやかで均一 | 温かく落ち着いた |
| ナラ | 淡黄褐色 | 力強い導管 | 重厚で存在感がある |
| ウォールナット | 濃茶〜紫褐色 | はっきりした木目 | シックで高級感 |
| メープル | 乳白色〜淡黄色 | 繊細で緻密 | 明るく清潔感 |
実際の現場では、板材によって白太と赤身の比率が異なります。統一感を重視するなら赤身中心の板を選び、表情の変化を楽しむなら白太混じりを選ぶという使い分けが可能です。
施主には「木目が主張しないので、家具や照明が映える素材です」と説明すると、イメージが伝わりやすくなります。
硬さと重さ|無垢材として扱いやすいバランス
ヤマザクラの気乾比重は0.60(平均値)です。ナラ(ミズナラ:約0.67)よりはわずかに軽く加工性に優れ、スギ(約0.38)などの針葉樹に比べると約1.5倍の密度と硬さをもっています。
この適度な硬さが、現場での扱いやすさにつながります。加工時に刃物の負担が大きすぎず、施工後の傷も針葉樹ほど気にする必要がありません。
床材として使う場合、日常生活での傷はつきにくく、かといってナラほど硬質すぎないため、足触りに温かみがあります。
反りや狂いについては、乾燥処理がしっかりした材であれば比較的安定しています。ただし、施工環境の湿度管理はほかの無垢材同様に必要です。
| 木材名 | 気乾比重 | 加工のしやすさ | 安定性 |
|---|---|---|---|
| サクラ | 0.60〜0.65 | 〇中程度の硬さで刃物への負担が適度。扱いやすい。 | 〇乾燥処理が適切なら比較的安定。湿度管理は必要。 |
| ナラ | 0.65〜0.70 | △硬質で加工時の刃物への負担がやや大きい。 | ◎硬く密度が高いため寸法安定性に優れる。 |
| スギ | 0.38 | ◎やわらかく加工が容易。刃物への負担が少ない。 | △やわらかいため傷つきやすく、湿度変化の影響を受けやすい。 |
| ヒノキ | 0.41 | ◎やわらかく加工しやすい。刃物の摩耗が少ない。 | 〇針葉樹のなかでは比較的安定性が高い。 |
「無垢材は扱いづらい」と感じている施主にも、「サクラは無垢材のなかでは安定している方です」と伝えれば、採用されやすくなるでしょう。
経年変化|「古びない」が最大の価値
サクラ材の経年変化は、ほかの樹種と比べておだやかです。施工直後の淡い紅褐色から、徐々に飴色に深まっていきますが、ウォールナットのように色が濃くなりすぎることはありません。
「色合いが美しく深まる」特性が、10年後も後悔しない理由です。新築時のイメージと大きくかけ離れないため、施主が「思っていたのと違う」と感じづらい木材といえます。
経年変化のイメージを施主に伝えるときは、「新しいときも、10年後も、どちらも良い表情を見せてくれる木です」という説明が効果的です。
派手な変化を期待する施主には向きませんが、長く安定した美しさを求める層には刺さります。
- 予測可能な変化:淡紅褐色から飴色へおだやかに深まる
- 施主の後悔リスクが少ない:イメージとのギャップが小さい
- 新旧どちらも美しい:施工時も10年後も良い表情
- インテリアの調和を保ちやすい:濃くなりすぎず家具と調和
- 安定感として提案できる:変化をリスクでなく魅力に転換
無垢材の経年変化を「リスク」ではなく「安定感」として提案できる点が、サクラ材の大きな強みです。
香り・質感|生活に溶け込む感覚的な魅力
サクラ材には、ヒノキやスギのような強い香りはありません。ほのかに甘い香りがする程度で、日常生活で気になることはほぼありません。控えめな香りが、寝室や子ども部屋への使いやすさにつながります。
質感は滑らかで、手触りがやわらかいという特徴があり、造作カウンターやテーブルに使うと触れたときの心地よさが感じられます。
施主のなかには「木の香りが強いと頭が痛くなる」「無垢材は触るとザラザラしそう」という不安をもつ方もいますが、「サクラは香りがおだやかで、手触りも滑らかです」と伝えると、採用への心理的ハードルが下がりやすいでしょう。
感覚的な部分こそ、現場で実際に触ってもらうサンプル提示が効果的です。
サクラ材の種類|ヤマザクラを中心に考える理由

サクラと一口に言っても、実は複数の種類が存在します。
住宅内装で『サクラ』の名で流通しているものには、本物のサクラ(バラ科のヤマザクラ等)と、色味が似ているため『カバザクラ』と呼ばれるカバ材(カバノキ科)の2種類があります。


ここではでは、希少価値が高く、より上質な国産のバラ科ヤマザクラについて解説します。
ヤマザクラが住宅内装で選ばれる理由
ヤマザクラ(山桜)は、国内で広く自生している樹種で、木材として安定供給できる点が大きな強みです。
成長が比較的早く、樹高も20mに達することもあり、建築用材として十分なサイズの板材が取れます。
木質としては、適度な硬さと粘りがあり、加工性も良好です。狂いが少なく、乾燥処理後の寸法安定性も高いため、フローリングや造作材に適しています。
仕入れではヤマザクラは供給量が限られる高級国産材です。輸入材依存が続き、納期管理が課題となりますが、国産アピールは有効です。
ソメイヨシノとの違いと注意点
「サクラ」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、花見で有名なソメイヨシノです。しかし、ソメイヨシノは観賞用として育てられた園芸品種で、木材としてはほとんど流通していません。
理由は、ソメイヨシノは接ぎ木で増やされるクローン品種であり、樹高も10m程度と建築用材には不向きだからです。
また、低い位置から枝分かれしやすく、建築材に必要な長く真っ直ぐな幹(通直材)が得られにくいため、木材利用には不向きといえます。
一方、ヤマザクラは山中で光を求めて高く真っ直ぐ育つ性質があり、建材としての歩留まりが良いのが特徴です。
施主のなかには「家にサクラの木があるから、それを使えませんか?」と聞いてくる方もいるかもしれません。その場合、「観賞用のサクラと建築用のヤマザクラは別物です」と丁寧に説明する必要があります。
区別するために、見積もりや仕様書には「ヤマザクラ」と明記しておくことをおすすめします。
国産サクラ材を選ぶ意味
サクラ材には、国産のヤマザクラのほか、北米産のブラックチェリー(アメリカンチェリー)も流通しています。
ブラックチェリーは色味が濃く、赤みが強いため、サクラ材とは別物として扱われることが多い樹種です。
国産ヤマザクラを選ぶメリットは、以下の3点です。
- 安定供給:輸入材のような為替や物流リスクが少ない
- 履歴管理:産地が明確で、施主への説明がしやすい
- 地域材としての付加価値:地元産材を使うことで補助金対象になる場合もある
最近では「国産材を使いたい」という施主も増えています。環境配慮や地域経済への貢献といった観点から、国産ヤマザクラを選ぶ意味は大きくなっています。
見積もり時に「国産ヤマザクラ使用」と明記すれば、それだけで提案の価値が上がる可能性もあるでしょう。
サクラ木材のメリット・デメリットを現場目線で整理

サクラ材を採用する前に、メリットとデメリットを正直に整理しておくことが重要です。どんな木材にも向き不向きがあり、サクラ材も例外ではありません。
ここでは、現場で感じる実際のメリット・デメリットを解説します。
メリット①|説明しやすく、後悔が少ない
サクラ材の最大のメリットは、施主への説明がしやすく、採用後の後悔が少ない点です。派手な個性がないぶん、「思っていたのと違う」というクレームが起きにくくなります。
具体的には、以下のような説明がそのまま使えます。
- 「和でも洋でも合わせやすい木です」
- 「10年後には色合いが深まり、飽きがきません」
- 「日本の住宅によくなじむ色合いです」
新築時に「もっと個性的な木が良かった」と言われづらく、住みはじめてから「サクラにして良かった」と思ってもらえるでしょう。
判断に迷う施主にとって、「無難」ではなく「安心」を提供できる素材です。
メリット②|ナラやウォールナットとの差別化がしやすい
大手ハウスメーカーでは、ナラやウォールナットが定番素材として採用されることが多いです。そのため、サクラ材を提案することで、自然と差別化が図れます。
サクラ材は、ナラのような力強さやウォールナットのような高級感とは異なり、「控えめな上質さ」という独自のポジションをもっています。施主に対して「大手にはない提案」として伝えられるのが強みです。
価格面では、一般的なオーク(ナラ)材よりも高価な傾向にありますが、ブラックチェリーや最高級ウォールナットに比べると、コストパフォーマンスを高められる場合があります。
「うちはサクラ材を使うことが多いんです」と言えるだけで、工務店としての個性が伝わり、施主の記憶に残りやすくなります。
デメリット①|派手さを求める施主には向かない
サクラ材のデメリットは、控えめな性格ゆえに「インパクトに欠ける」と感じる施主もいることです。SNS映えする空間や、一目で「おしゃれ」と分かる空間を求める層には、物足りなく見えることがあります。
ウォールナットの濃い色味やナラの力強い木目を求めている施主に、サクラ材を提案しても響きません。無理に勧めると、「地味」「普通」という印象をもたれてしまいます。
| 木材名 | 施工直後の色 | 経年変化後の色 | 色の特徴 |
|---|---|---|---|
| サクラ | 淡い紅褐色、ピンクがかった明るい色味 | 飴色に深まる(おだやかな変化) | 温かみのある優しい色調。明るく柔やわらかい印象。 |
| ウォールナット | 濃い茶色〜紫がかった黒褐色 | より深く濃い茶色へ変化 | 重厚で高級感のある暗色。シックで落ち着いた印象。 |
| ナラ | 淡い黄褐色〜ベージュ系 | やや濃い黄褐色へ深まる | 明るく自然な色味。木目が際立つナチュラルな印象。 |
| スギ | 淡い赤褐色〜ピンクがかった白色 | 赤みが増し、濃い赤褐色へ | やわらかな赤みが特徴。和の温かみのある色調。 |
| ヒノキ | 淡い黄白色〜クリーム色 | 黄色みが増し、淡い飴色へ | 明るく清潔感のある色味。上品で爽やかな印象。 |
施主の好みによってサクラ材を無理に推すのではなく、「サクラは名脇役として、ほかの素材を引き立てる使い方もできます」とポジション転換するのも有効です。
施主の方向性を見極めて、派手さを求める層には別の樹種を提案する柔軟さが必要です。
デメリット②|使いどころを間違えると印象がぼやける
サクラ材は主張が少ないぶん、使う場所を間違えると「どこにでもある普通の空間」になってしまうリスクがあります。特に、全面をサクラ材で統一すると、メリハリがなくなり、印象がぼやけます。
効果的な使い方は、以下のような配置です。
- 床材として使う場合は、一部屋や廊下に限定する
- 造作カウンターや棚など、ポイント使いで質感を感じさせる
- 白い壁と濃い色の建具の間に配置し、つなぎ役として機能させる
逆に避けたいのは、「とりあえずサクラ」という選び方です。使いどころを明確にせず採用すると、空間全体の印象が薄くなります。
「どこに使うと効くか」を考えたうえで提案することが、サクラ材を活かすポイントです。
サクラ木材の用途|「どこに使うと効く木」なのか

サクラ材は万能ではありません。適材適所で使うことで、その良さが引き立ちます。
ここでは、床材・家具・板材といった用途別に、サクラ材がどこに使うと効果的なのかを具体的に解説します。
床材(フローリング)|全面より“面積の使い方”
サクラ材をフローリングとして使う場合、全面に張るよりも「面積の使い方」を意識することが重要です。たとえば、リビング全体に張るのではなく、リビングの一角やダイニングスペースだけに使う方が、サクラ材の上質さが際立ちます。
理由は、サクラ材の控えめな色味が、広い面積に使うと単調になりやすいためです。逆に、ほかの素材(タイルや濃い色の床材)と組み合わせると、空間にメリハリが生まれ、サクラ材の温かみが引き立ちます。
具体的な使い方としては、以下のような配置が効果的です。
- 廊下や階段:動線として続く部分に使い、統一感を出す。
- 寝室や子ども部屋:足触りの良さと落ち着いた色味が活きる。
- 和室の縁側や廊下:畳との相性が良く、和の雰囲気を損なわない。
施主には「全面に張ると単調になるので、ポイント使いをおすすめします」と伝えると、プロの提案として受け入れられやすくなります。
家具・造作材|空間の印象をまとめる役割
サクラ材は、造作家具やカウンター、棚といった造作材として使うと、特に良さが発揮されます。床材として広く使うより、目に触れる場所に限定的に使う方が、素材の質感を感じやすくなります。
たとえば、以下のような使い方が効果的です。
- キッチンカウンター:手で触れる機会が多く、滑らかな質感が活きる。
- 造作デスクや棚:経年変化を楽しみながら使える。
- 階段の手すり:温かみのある手触りが安心感を生む。
サクラ材は、触れたときの感触が良いため、「手が触れる場所」に使うと満足度が高まります。
また、ほかの素材(スチールやタイル)と組み合わせたとき、サクラ材がやわらかさを加える役割を果たします。
施主には「造作材として使うと、空間全体の印象がまとまります」と説明すると、理解が得られやすいです。
板材としての使いどころと避けたい場所
サクラの板材は、内装の造作全般に使えますが、向いている場所と避けたい場所があります。
- 壁の一部(アクセントウォール):温かみを出しつつ、主張しすぎない。
- 天井材:圧迫感を出さず、空間にやわらかさを加える。
- ドアや建具:和洋どちらにも合わせやすい。
- 水回り(浴室・洗面): 湿気に弱く、反りや変色のリスクがある。
- 土間や玄関:外部の湿気や汚れに直接触れる場所には不向き。
- 外壁や軒天:耐候性が低く、劣化が早い。
サクラ材は、室内環境が安定している場所で使うことが前提です。湿度変化が激しい場所や、直接水がかかる場所には向いていません。
施主に「サクラは室内の落ち着いた場所で本領を発揮する木です」と伝えると、適材適所の提案として理解されやすくなります。
サクラ木材の値段感|高いか安いかではなく、どう語るか

価格は、見積もり時に必ず聞かれるポイントです。ただし、「高い・安い」で終わらせるのではなく、価格に見合う価値をどう伝えるかが重要です。
ここでは、サクラ材の価格帯と、施主への説明方法を解説します。
サクラ材の価格帯の目安
サクラ材の無垢フローリングの価格は、ほかの広葉樹と比較すると中間的です。板材の場合は、厚みや幅、等級によって価格が変動します。
価格帯は、以下のような要因で変わります。
- 等級(節の有無、色味のそろい):上級品ほど高価
- 産地(国産・地域材):地元産材は流通コストがおさえられることもある
- 加工の有無(UVコーティング、浮造り加工):加工済みは割高
サクラ材の価格イメージは次のとおりです。
| 等級 | 価格イメージ | 特徴 |
|---|---|---|
| 上級品 | 下級品の2倍程度 | 節が少なく、色味が均一 |
| 中級品 | 標準的 | 小節あり、一般的な品質 |
| 下級品 | もっとも安価 | 節が多く、色ムラあり |
安価なものは節が多く色ムラがありますが、それを「味」として提案する方法もひとつです。逆に、統一感を重視する施主には、節が少ない上級品を勧めましょう。
見積もり時には、価格だけでなく「なぜこの等級を選んだか」を説明できるようにしておくと、施主の納得感が高まります。
ナラ・ウォールナットとの価格比較
サクラ材の価格は、ナラとウォールナットの中間に位置します。具体的には、以下のような関係です。
- ナラ:ヤマザクラよりやや安い
- サクラ:中間
- ウォールナット:もっとも高価
サクラ材は、ナラのような存在感はないものの、価格をおさえながら上質な空間を作る際に向いています。
逆に、ウォールナットのような高級感を求める施主には、サクラ材では物足りないかもしれません。
価格比較を施主に説明するときは、「ナラのような強い主張がなく、ウォールナットほどの重厚すぎない絶妙な立ち位置。国産材としての価値を考えれば、妥当性の高い投資といえます。」という伝え方がわかりやすいでしょう。
「高級感は欲しいが、予算はおさえたい」という施主には、サクラ材が最適な選択肢になり得ます。
施主に価格感を説明するポイント
サクラ材の価格を施主に説明するとき、単に「㎡あたり◯◯円です」と伝えるだけでは不十分です。価格に見合う価値を伝えることで、説得力が生まれます。
以下のような説明を加えると効果的です。
- 経年変化による上質さ:「10年後には色合いが美しく深まるので、長く満足できます」
- 扱いやすさ:「無垢材のなかでは安定しているので、メンテナンスの手間が少ないです」
- 空間全体への影響:「サクラを使うことで、ほかの素材が引き立ち、空間全体の質が上がります」
また、「初期コストは少し高くても、10年後の満足度を考えると、コストパフォーマンスが良い素材です」という将来を見据えた説明も有効です。
価格を「コスト」ではなく「投資」として語ることで、施主の納得感が高まります。
木材選びで迷ったら|山仁物産は「仕入れ先」ではなく「裏方の相談役」
サクラ材を採用するかどうか、最終判断に迷うこともあるはずです。
「この現場にサクラ材は合っているか」「施主にどう説明すれば納得してもらえるか」といった疑問は、素材選びの段階で必ず出てきます。
山仁物産は、単なる木材の仕入れ先ではありません。「この木材をどこに使うと効くか」「施主にどう伝えれば良いか」といった、選定後の使い方まで含めて相談できます。
現場での配置バランスや、ほかの素材との組み合わせ方など、カタログだけではわからない情報を、実務経験をもとに提供しています。素材選びに迷ったときこそ、一度ご相談ください。
サクラ木材は「選ぶ理由を説明しやすい素材」
サクラ木材は、派手な個性はないものの、「選ぶ理由を説明しやすい素材」です。
和でも洋でも浮かない柔軟性、10年後も飽きのこない経年変化、施主への説明のしやすさ。工務店にとって提案しやすく、施主にとって安心できる要素です。
ナラやウォールナットのような存在感はありませんが、空間を支える名脇役として、確かな価値をもっています。
素材選びで迷ったとき、「無難」ではなく「安心」を提供できるサクラ材を、選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
